今夜コインランドリーで逢いましょう
| 作品名・サービス名 | 今夜コインランドリーで逢いましょう |
|---|---|
| 著者 | 藍原るりえ(漫画) / ケンノジ(原作) |
| 概要 |
仕事に追われる日々を送る三十路手前のファミレス社員成田は、転職の面接結果に落ち込みながら、夕食中に動画サイトでオススメされた動画をぼんやりと眺めていた。そこに映っているのはクールですこし生意気な受け答えをしながらも、圧倒的なセンスと歌唱力を持つアーティスト、夜崎ササ。 その後、洗濯物のトラブルで訪れた古びたコインランドリーで、ふと目にした女性の姿に違和感を覚える。どこかで見たようなその人は、さっきまで動画で見ていたササ本人だった──。 |
| 公式無料提供先 | カドコミ |
| タグ |
レビュー
1
巧みな日常描写と意外な出会いのドラマが魅力的なラブストーリー
物語の主人公は、三十路手前のファミレス社員・成田。仕事に追われ、転職の面接に落ちて落ち込んだ夜、夕食を食べながら動画サイトをぼんやり眺めているシーンから始まります。私も似たような日常を送っているので、すぐに感情移入してしまいました。あの「今日も何も変わらない」みたいな疲労感が、リアルに描かれていて、読んでいて胸がざわつきました。そんな中、おすすめ動画に流れてきたのが、クールで少し生意気なアーティスト・夜崎ササ。彼女の歌唱力とセンスに圧倒され、成田(そして私も)一瞬で引き込まれます。ササのキャラクターが魅力的で、インタビューでのキレのある受け答えが、まるで本物のミュージシャンみたい。メディア越しに見る彼女の輝きが、物語のフックとして完璧です。そして、クライマックスはコインランドリーでの出会い。洗濯物のトラブルで訪れた古びた店で、ふと目に入った女性に違和感を覚える成田。そこに現れるのが、動画で見たササ本人! というところで第1話は終わります。この「日常と非日常の交差」が、最高にワクワクしました。コインランドリーというありふれた場所が、まるで運命の舞台みたいに感じられるんです。テーマとして、現実の疲れの中で訪れる予期せぬ出会いや、芸能人の「素顔」と「表の顔」のギャップが浮かび上がってきて、続きでどんな関係性が紡がれていくのか、想像が膨らみます。きっと、成田の人生が少しずつ変わっていく過程が、優しくて切ないラブロマンスになるんだろうなと期待しています。アートスタイルについては、第1話のテキストベースの描写から想像するに、シンプルで親しみやすいタッチだと思います。セリフのテンポが良く、成田の内省的な独白が心に染みる。全体として、忙しい現代人の心の隙間にスッと入ってくる作品です。まだ1話だけですが、すでに「今夜こそコインランドリーに行ってみようかな」なんて思わせるパワーがあります。ササのような出会いが、私の日常にも訪れないかなと、ちょっとした夢を見せてくれました。
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